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精神科医監修|抗うつ薬の離脱症状

抗うつ薬の離脱症状とは?

うつ病など、気分の落ち込みや不安感といった症状が強く生じている場合に抗うつ薬が処方されることがあります。

医師の指示通りに内服すれば安全性が確保されている薬ですが、何らかの事情により服用を中断してしまった場合、離脱症状が生じる可能性があります。

今回は抗うつ薬の離脱症状について解説します。

抗うつ薬についてはこちらの記事にて詳しく解説しています。

・【精神科医監修】抗うつ薬を解説【目的効果・種類・副作用とは?】|綾瀬メンタルクリニック

・【精神科医監修】抗うつ薬は太るのか?原因と対策|綾瀬メンタルクリニック

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抗うつ薬の離脱症状は具体的にはどんな症状が出る?


『抗うつ薬をうっかり飲み忘れてしまった!!』

『抗うつ薬は副作用が出るから飲みたくないなぁ…』

『最近とても調子が良いから、抗うつ薬を飲まなくても大丈夫な気がする』

抗うつ薬の服用を中断するご事情は人それぞれでしょう。

ただ、どのような薬においても自己判断による中断にはリスクがつきもの…。

わかりやすいところで、抗生物質を例に挙げましょう。『処方された分は必ず飲み切ってください』と、医師や薬剤師から説明を受けたことがある方も多くいらっしゃると思いますが、抗生物質の服用を中断すると十分な効果が出ず、抵抗力のある細菌が増殖する(その結果、症状をぶり返してしまう)という大きなリスクが生じてしまうのです。

このリスクは抗うつ薬にも共通すると言えます。

抗うつ薬は内服開始から数日~数週間経った頃に効果が見えてくるため、定期的且つ継続的な服用が基本となります。すなわち、常に体の中に薬の成分があるということです。服薬の中断によって一時的にそのバランスが崩れると、体にも心にも様々な症状(=離脱症状)が現れる可能性があるのです。

精神疾患の診断基準であるDSM-5には、“抗うつ薬中断症候群”に関して記載されています。

抗うつ薬中断症候群は、少なくとも1ヵ月以上続けて服用していた抗うつ薬を突然中止した場合、あるいは急激に減らした場合に生じるものを指します。多くの場合、急な中断・減薬から2~4日以内に以下のような症状が現れます。

・光が点滅している感覚

・‟電気ショック”を受けたような感覚、痛みやしびれ

・吐き気

・音や光に対する過敏性

・不安感や恐怖感

これらの他に、ふらつき、頭痛、傾眠、震え、発汗、不眠、イライラ、めまい、下痢、疲労感といった離脱症状も報告されています。

抗うつ薬の離脱症状の期間は?いつからいつまで出る?


“薬の成分が体内にあることが普通”の状態から変化することによって離脱症状が生じてしまうので、“薬の成分が体内にないことが普通”の状態に戻れば多くの場合は治まります。離脱症状が落ち着くまでの期間は1~2週間程度とは言われていますですが、重篤だと数ヵ月続いてしまうケースもあるようです。

こういった離脱症状が起こるメカニズムについては、脳内のセロトニン濃度が激減することなど複数の仮説があります。ただし、明確なメカニズムは現状解明されていません。

抗うつ薬の離脱が出た際の対処方法は?


“薬の成分が体内にないことが普通”の状態に戻ることで治まるものであれば我慢する!という選択をされる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど挙げた症状を見ると日常生活に支障をきたすものばかりなので耐え難いと感じる方も多いのではないでしょうか。

薬の中断や減量から時間を置かず不調が出現したときにまず取るべき対処方法として、主治医への相談を推奨します。診察の中でご相談いただくことになりますが、方法としては一度中断してしまった薬を再開する、作用の似ている別の薬に切り替える、減薬量を調整するといった対処方法が一般的です。

ただし、通院先が休診日の場合はそう思うようにいきません。調剤薬局へ問い合わせた場合、薬剤師から一般的な情報提供をしていただける可能性はあります。しかし、あくまで‟一般的な”お話になります。患者さんひとりひとりの状態に合った助言は主治医が行うものなので、抗うつ薬離脱症状の具体的な対処方法については、やはり主治医と話をするほかにないのが現状です。

【Column】抗うつ薬の離脱症状とうつ病は似ている?


先ほど様々な離脱症状を列挙しましたが、これらはうつ病の症状と見分けがつきにくいと言われています。確かにうつ病に罹患すると気分面の変動は出てきますし、睡眠の質に変化が生じる、疲れやすくなるといった症状も珍しくありません。

また、薬を中断ないし減量した直後の不調であることから『薬がないと駄目なんだ』『薬を飲まないとうつ病が再発する』といった思い込みや不安な気持ちに繋がることもあります。その結果、必要以上に長期的な服薬となってしまうケースもあるのです。

このような事態を防ぐためには、主治医とよく話をすることが大切です。

診察時間には限りがあるため躊躇してしまったり話し切れなかったりすることもあるかもしれませんが、薬を調整・処方できるのは医師だけです。ということは、薬に関する話は診察において優先度がとても高いと言えます。

『前回薬を減らしてから調子が…』『薬を飲み忘れてしまってから具合が…』といった主治医へのご相談は、現在の状態が離脱症状なのか、それともうつ病の再燃なのかを判断するために重要な材料になります。それぞれに対する処置は全く異なるため、適切な治療には過不足なく情報を伝えられることが必須です。

精神科・心療内科における診察についてはこちらの記事をご参照ください。

【診察時間が短すぎ問題】精神科医と心理士/心理師の違い【カウンセリングとの違い】|株式会社サポートメンタルヘルス

【参考文献】

・高橋三郎・大野裕 監修(2014)DSM-5精神疾患の分類と診断の手引|医学書院

・功刀浩 編(2015)研修医・コメディカルのための精神疾患の薬物療法講義|金剛出版

・抗うつ薬の離脱と減薬|地域精神保健福祉機構

【監修】

本山 真(精神保健指定医・医療法人ラック理事長)

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