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【精神科医監修】抗うつ薬は太るのか?原因と対策

抗うつ薬は太りやすい?精神科医監修で原因と対策を解説

“薬を一度飲み始めたら依存してしまってやめられないのではないか”

“薬を飲んで太るのはいやだ”

“副作用の強い薬は避けたい”

 

精神科・心療内科を初めて受診される患者様より、よく耳にするご心配です。精神科・心療内科のお薬に対しては、プラスのものよりマイナスのイメージを連想される方が多いように感じます。

 

精神科での治療、つまりこころの病の治療に使われるお薬には、脳内の神経伝達物質を増やすことによってうつ症状や不安症状を改善させる「抗うつ薬」、脳内のドーパミンの活動を抑えることによって陽性症状と呼ばれる幻覚・妄想、思考のまとまらなさなどの症状を改善させる「抗精神病薬」、不安や緊張、イライラ、パニック発作の症状を和らげる「抗不安薬」など、他にもさまざまな作用機序をもつお薬があります。

【参考】:【ぞわぞわ…】精神科医監修パニック障害対策ブログ【そわそわ…】

 

今回は抗うつ薬と太りやすさの関係を整理していこうと思います。(当然ですが)こちらのブログは現在抗うつ薬を服用されてらっしゃる方の不安を煽ることが目的ではありません。正しい知識に基づいて、抗うつ薬とお付き合いしていただくための情報提供となります。服用中のお薬に関してご不安な点、ご心配な点がある方は、まずは主治医の先生、薬局の薬剤師さんにご相談してください。

関連項目:抗うつ薬を解説【目的効果・種類・副作用とは?】

 

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メンタルクリニック受診を解説した動画です。心療内科、精神科を受診すべきか悩んでらっしゃる方、不安を感じてらっしゃる方、ご参考になさってください。

 

「抗うつ薬」とはどんなお薬?


そもそも「抗うつ薬」とはどんなお薬なのでしょうか。

 

先ほど簡単に説明した通り、脳内の神経伝達物質を増やすことによってうつ症状や不安症状を改善させるお薬ですが、うつ病だけでなく不安を原因とする病気の治療にも使われます。抗うつ薬は脳内の神経伝達物質の中でも「うつ」の症状に関係するセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの調整を主に行います。

 

  • セロトニンが減少すると、不安や焦りを強く感じたり気分が落ち込んだりします。
  • ノルアドレナリンが減少すると、意欲や関心の低下を引き起こします。
  • ドーパミンが減少すると、楽しさ・喜びが感じられなくなったりします。

 

こういった症状を改善するためにセロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンといった神経伝達物質の調整を行うのが、抗うつ薬の役割です。

【関連項目】

<当法人母体の株式会社サポートメンタルヘルスコンテンツです>

お薬によるアプローチ以外に認知行動療法、リラクゼーション法(自律訓練法)というアプローチもあります。

 

【臨床心理士によるリラクゼーション】ホットレってなに?編

【臨床心理士によるリラクゼーション】ホットレやってみよう編

ZERO 1 ch【株式会社サポートメンタルヘルス公式ch】

 

抗うつ薬を飲むと太る原因


早速ですが『抗うつ薬を飲んだ副作用で太ることはない』のでしょうか。

 

答えはノーです。

 

最初に少しふれましたが、「抗うつ薬」の中にも強さや作用の異なるものがいくつかあり、その中には太りやすいと言われているものもあるのです。

 

まず、抗うつ薬にはどんな種類があるかご紹介しますと…

 

60年以上も前から使われているという「三環系」と呼ばれている種類が一番歴史のある抗うつ薬です。三環系は効果が強かったのですが比較的副作用も強かったため、副作用を軽減して開発されたのが「四環系」です。

 

その後、2000年代に入り、セロトニンだけを増やすように開発された「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」、セロトニンだけではなくノルアドレナリンも働きかけるように開発された「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」、減少したセロトニンとノルアドレナリンの分泌を促し、セロトニンが効率よく働けるように開発された「NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動薬)」が使用されるようになりました。

 

三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSA、この5つが抗うつ薬の主な種類です。

 

太りやすい抗うつ薬


太りやすい可能性が高いと指摘されているのは、「NaSSA」のミルタザピン(商品名:リフレックス・レメロン)です。

 

ミルタザピンはうつや不安の症状に対する効果に優れているものの、同時に、満腹感を生み出すヒスタミンという物質の働きを抑え、5HT2cという受容体の食欲を抑える働きもブロックします。そのため、食欲を増進させてしまうのです。

 

引用【眠れない方必見!】睡眠のカギは朝にある!精神科医監修不眠解消メソッド|株式会社サポートメンタルヘルス

※ヒスタミンブロックには眠気を誘引するという効果もあります。

 

この他にも「三環系」のイミプラミン塩酸塩(商品名:トフラニール)、アモキサピン(商品名:アモキサン)、クロミプラミン塩酸塩(アナフラニール)、アミトリプチリン(商品名:トリプタノール)などもミルタザピンほどではありませんが、太りやすいお薬と言われています。

 

また、「四環系」のマプロチリン塩酸塩(商品名:ルジオミール)、ミアンセリン塩酸塩(商品名:テトラミド)もやや太りやすく、「SSRI」のパロキセチン(商品名:パキシル)、セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)なども太りやすい傾向にあるお薬と言われています。

 

外出をしなくなり家事も最低限で済ませるなど、日常的に体を動かす機会が減り、生活習慣が乱れがちになったところで服薬すると、お薬のせいで太ったと感じるかもしれません。

 

いずれも、お薬の効果がしっかりしているほど症状が改善されるため、こころの不調の影響で低下していた食欲が戻ってきたり、食べたときのおいしさを感じたりするようになり、食事の摂取量が増えた結果体重増加につながる場合もあるのです。つまりは【抗うつ薬の効果としてうつ症状が改善されることで結果として体重が増加する】治療効果だと言えます。

 

太りにくい抗うつ薬


太りやすいお薬の話ばかりでしたが、実は太りにくいと言われている抗うつ薬も存在します。

 

「SNRI」のベンラファキシン(商品名:イフェクサーSR)、デュロキセチン(商品名:サインバルタ)、ミルナシプラン(商品名:トレドミン)は、太りにくいと言われている抗うつ薬です。副作用として吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸障害がみられるお薬なので、結果として食欲増進につながりづらいことから太りにくいとされています。

 

ここまで抗うつ薬と太りやすさについてみてきましたが、抗うつ薬を飲むと必ず体重が増加するというわけではありません。食生活、運動習慣、生活習慣などの見直しで体重増加への対策、予防ができる場合もあります。

 

例えば、1日3食規則正しくバランスの良い食事を摂り間食を控えること、散歩やストレッチなどの適度な運動をすること、定期的に体重を測定し経緯をみるといったアプローチは効果的だと言えます。

関連項目:

【精神科医監修】散歩でメンタルケア!ストレス発散効果は?【ライフハック心理学#2】

栄養がメンタルを安定させる?【栄養精神医学】食事とメンタルの深い関係

 

無理をすることで病状が悪化してしまう場合や、いろいろ試してみても体質や遺伝的要素によってどうすることもできない場合もあるでしょう。

 

精神科に通院中で体重増加が気になる方は、どのような対策が効果的なのか、お薬の種類の変更や減量は可能かどうかなど、まずは主治医の先生と相談してみましょう。自己判断で決定することのないようご注意ください。

 

【監修】

本山真 医療法人ラック理事長

精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医

株式会社サポートメンタルヘルス代表

 

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