【精神科医監修】周産期のメンタルヘルスケアガイド
周産期メンタルヘルスケアの重要性とサポート方法
周産期とは、産前産後の時期を指し、女性にとって非常に特別で変化の多い時期です。この時期には、お腹のふくらみや体重の増加、つわりなどの体調変化、お腹に赤ちゃんがいることによる食生活や生活習慣の変化など、様々な変化が訪れます。また、産休・育休による仕事の変化、パートナーや友人、家族との関係性の変化も含まれます。これらの変化は身体的なものだけでなく、心理面や精神面にも大きな影響を与えます(こちらもどうぞ:【産業医監修】フェムテックとは?メンタルヘルス専門職が簡単に解説!)
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妊娠中のメンタルヘルス
妊娠中は、赤ちゃんを迎える喜びや希望といったポジティブな感情を抱きやすい一方で、「本当に自分は母親になれるのだろうか」「赤ちゃんを無事に育てられるだろうか」といった将来への不安や、周囲からの期待に対するプレッシャーを感じることもあります。
また、妊娠中はホルモンバランスの変動により感情が不安定になりやすく、些細なことで気分が沈んだり涙が出ることも珍しくありません。さらに、仕事を一時的に離れることで社会とのつながりが薄れると感じたり、生活スタイルの変化によって孤独感を抱くこともあります。
特に、パートナーや周囲がこれらの変化に気づかず、サポートが不十分な場合には、女性が「誰にも理解してもらえない」と感じることが増え、精神的な負担が増大することもあります。
周産期うつと対応
妊娠中におけるメンタルヘルス上の問題として、気分変動や不安感があげられます。妊娠中の気分の変化は出産後も続くことがあります。出産後、数日から1週間の間に感じる一時的な情緒不安定な状態のことを「マタニティブルー」と呼びます。突然涙が出たり、気分が沈むことがあっても、その多くは一過性のもので、家族の支えがあれば自然に回復します。しかし、マタニティブルーが長引いたり、より深刻な精神状態に発展することがあります。
その一つが「周産期うつ」です。周産期うつは妊娠中から産後にかけて発症するうつ病であり、いわゆる「産後うつ」もこの周産期うつに含まれます。症状としては気分の落ち込み、強い疲労感、不眠、食欲不振などが見られます。
また、「完璧な母親」を目指すあまり母親としての自信を失うことも特徴です。「赤ちゃんへの愛情を感じられない」と自分を責める思考に陥ることもあります。
周産期うつは「単なる疲れ」や「甘え」の問題ではなく、専門的な支援が必要な病気です。放置すると病状の悪化や、母子関係や育児全体に深刻な影響を与えるため、早期に気づき、適切なサポートを受けることが重要です。
周産期うつの症状
周産期うつの具体的な症状には以下のようなものがあります。
- 気持ちが落ち込みやすい
- 物事を楽しみにできない・楽しめない
- 意欲が湧かない
- 集中力が続かない
- 理由なく不安感や心配に襲われる
- 自分で自分を必要以上に責めてしまう
- 理由なく涙があふれる・止まらない
- 自分自身を傷つける考えが浮かぶ
上記のような状態が多く当てはまったり、2週間以上持続している場合は、うつ状態に陥っている可能性が高いため、早めに医療機関へ受診することをおすすめします(こちらもどうぞ:うつ病)。
周産期うつは適切な治療やサポートを受ければ改善できる病気です。通院に加えて、カウンセリングで自分の気持ちを整理したり、自治体が提供する子育てサポートを活用して子育てそのものの負担を減らすことも有効な手段です。
周産期うつのサポート資源
自治体の相談窓口は「地域名 子育て相談」で検索可能です。また、お近くの児童相談所やこども家庭センターなども子育てに関する相談を受け付けています。
決して一人で悩まず、各機関の専門家に相談することが重要です。サポートを受けることで、母親自身の負担を軽減し、より健全な育児環境を整えることができます。
また、パートナーや家族の理解と協力も非常に重要です。周産期の精神的な健康を支えるために、周囲の人々が積極的に関わり、サポートすることが求められます。
周産期のメンタルヘルスケア法
十分な休息
十分な睡眠を確保し、疲れを溜めないようにすることが重要です。出産後は赤ちゃんのお世話で忙しくなりますが、パートナーや家族の協力を得て、できるだけ休息を取るようにしましょう(こちらもどうぞ:精神科医監修|なぜ女性は睡眠不足なのかーライフステージやホルモンバランスとの関係ー)。
バランスの取れた食事
栄養バランスの良い食事を心がけることで、体調を整え、メンタルヘルスにも良い影響を与えます。食事は心と体の健康を支える基本です(関連項目:栄養がメンタルを安定させる?【栄養精神医学】食事とメンタルの深い関係)。
趣味やリラクゼーション
自分の趣味を楽しむ時間を持つことで、気分転換ができます。リラクゼーション法としては、瞑想や呼吸法などがおすすめです。趣味やリラクゼーションを通じて、心の余裕を持つことが大切です。
信頼できる人とのコミュニケーション
パートナーや友人、家族と気持ちを共有することで、孤独感や不安感を和らげることができます。信頼できる人に話をすることで、精神的な支えとなります。
定期的なカウンセリング
専門のカウンセラーと定期的に話をすることで、心の中の不安や悩みを整理することができます。カウンセリングは、感情の揺れを理解し、適切に対処するための大切なサポートとなります(参考:こんな時にオンラインカウンセリング!【妊娠・出産・子育て中の方をサポート】)。
サポートグループへの参加
同じような経験をしている他の母親たちと交流することで、自分一人ではないと感じられ、安心感を得ることができます。サポートグループは、情報交換や共感を通じて、精神的な支えとなります。 • 適度な運動: 軽い運動やウォーキングなどは、気分をリフレッシュさせる効果があります。運動はストレスを軽減し、体と心のバランスを整える手助けとなります。
【監修】
本山 真(精神科医師 医療法人ラック理事長)





