うつ病
うつ病とはどんな病気?
うつ病/大うつ病性障害は、抑うつ障害群に分類されるこころの病の一種です。 うつ病は、「強い憂鬱な気分」「意欲が出ない」「考えがまとまらない」といった精神的な症状や、「眠れない」「疲れやすい」などの身体に現れる症状が長く続き、日常生活に支障が出てしまいます。
こうした症状を見ると、心の弱さが原因で起こると思われがちですが、脳内にあるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの心のバランスを保つ作用のある物質が減ってしまうことが原因です。
生涯有病率(一生のうち一度は病気にかかる人の割合)は約3~7%であり、ポピュラーな病と言えます。一般的に男性よりも女性に多く、日本では若年層と中高年に多くみられる傾向にあります。なお、うつ病は、年々患者数が増加しており、日本人の15人に1人が一生に一度はかかるという調査結果もあります。
* うつ病は大うつ病性障害と呼ばれることがあります。英語ではmajor depressionと表記されます。大うつ病における『大』は、majorの日本語訳が『大』であることからきており、決してうつ病の症状が重い、という意味ではありません。
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しっかりと医師の診察と適切な治療を受ければ治すことができますので、足立区の心療内科「綾瀬メンタルクリニック」にお越しください。
うつ病の主な症状
うつ病/大うつ病性障害の症状は、大きく、こころの不調(感情や行動の症状)とからだの不調(身体症状)とに分けられます。人間誰しも、何かのきっかけで気分が落ち込んだり、前日の疲れを引きずったりすることはあるものです。うつ病/大うつ病性障害による不調の特徴は、ほぼ1日中、毎日続くことであると言えます。
うつ病/大うつ病性障害の病因(原因)として、歴史的には内因性(性格、素質、脳内における機能異常が原因で発病)、心因性(心理的な原因で発病)、外因性(からだの病や生活・社会環境など脳の外部からの作用で発病)という3つの要因が想定されていました。
うつ病概念が整理されるにつれ、特別要因を分類しない考え方が一般的になっています。したがって、現在うつ病と呼ばれる病は、多くの病が集まった症候群(グループ)とする見方が有力だとされます。かつて内因性と考えられていたうつ病に対しては、神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスを整えるお薬の有効性が高いことが知られています。そのため、うつ病のグループのなかには、神経伝達物質のバランスの乱れをきっかけとしているものがあると想定されています。
感情に現れる症状
- 訳もなく悲しい・寂しい・虚しい気持ちになる。
行動に現れる症状
- やる気がなくなる。
- 億劫になる。
- 興味や関心がなくなる。
身体に現れる症状
- 頭痛、頭が重い、肩こり、不眠、便秘、食欲不振、身体の痛み。
うつ病/大うつ病性障害は、治療によって改善する病です。うつ病の症状によって、退職や離婚といった大きな決断をしてしまいがちです。治療中の大きな決断はいったん保留しましょう。
うつ病の主な治療としては、仕事や家事からいったん離れてこころとからだを休める「休養」、不調のきっかけとなった/再発のきっかけとなりそうな環境を見直す「環境調整」、さまざまな「精神療法/心理療法」、抗うつ薬などのお薬を使った「薬物療法」があります。症状に合わせて、適切な治療を選択していくことが重要です。
* 自殺をしてしまう恐れが高い、食事がまったくとれていない、など危険性が高い状態においては、一旦入院による治療をはさむ場合もありますが、ほとんどの患者さまは、通院による治療を継続しながら社会生活を続けてらっしゃいます。自分自身はもちろん、身近な人でも言動の異変や体の不調など、いつもと違う様子が見られたら医療機関の受診をおすすめします。
* うつ病は、再発しやすく(初めてうつ病になった方の約50%が再発すると言われます)、再発を繰り返せば繰り返すほど、治りにくくなってしまう病だと言われています。症状がよくなったと感じても自己判断で治療を中断せず、主治医と相談することをおすすめします。
- うつ病はこころ(とからだ)が疲れきっている状態と言えます。そのためこころ(とからだ)の休養を必要とするわけです。こころの休養とは、できる限りストレスから距離をおくことを指します。ストレスから距離をおく場合、“何をストレスに感じるかは人それぞれ”という視点がポイントとなります。自分が何をストレスに感じていたか、どういった状況でストレスを感じやすいかを把握することは、再発予防においても有効です。うつ病の症状が重い場合にはこころの休養とあわせてからだの休養を必要とします。症状が比較的軽度の場合、長引いている場合には、楽しめる活動を少しずつ増やしていくことが効果的です。
- うつ病グループのいくつかは、自分が置かれている環境そのものがストレスであり不調が生じると考えられています。したがって、うつ病のきっかけとなった環境/再発のきっかけとなりそうな環境と完全に距離を置くことができればそれが一番だと言えます。しかし、多くの場合それは困難でしょう。
- 自分が置かれている環境と上手に付き合うための対処法を身につけていく方法を広く精神療法/心理療法と言います。
- お薬を使った治療においては、主に抗うつ薬を使用します。お薬の効果によって、抗うつ薬にあわせて一部の抗精神病薬を使うこともありますし、不調に応じて、いくつかの睡眠薬や抗不安薬などのお薬を組み合わせて使用することもあります。
多くの抗うつ薬は、少ない量から開始し、効果が期待できる量まで徐々に増量していきます。効果が期待できる量に到達してから、充分な効果を感じられるまでに数週間、その後、再発予防をかねて、半年ほど服用を続けることが一般的です。医師の指示のもと、焦らずに治療を続けていきましょう。
うつ病で足立区の綾瀬メンタルクリニックにご来院いただいた後の注意点
- 症状が良くなったと思い、患者様の判断で薬を飲むことを止めてしまうと、再び症状が現われ、 逆に症状を重くしてしまうことがよくあります。
- 飲んでいただく薬の量は、患者様の状態を見極めた上で調整していますので、 飲む量・回数はきちんとお守りください。
- 心を休めるポイントは、答えの出ないことについて悩まないことです。
- 気分転換のために外出をする方が多いのですが、かえって逆効果になることがあるので、無理をしないでください。