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【精神科医監修】コロナうつの症状、治療、対処・対策、解消法

【更新】2021年4月26日

【公開】2020年8月1日

コロナうつの症状、治療、対処・対策、解消法

新型コロナウイルス感染拡大に伴う精神的な不調“コロナうつ(コロナ鬱)”。その増加に伴い、遂に厚労省も調査に乗り出しました。

新型コロナウイルス感染症との因果関係は不明ですが、2020年7月以降、自殺者が急増しているという気がかりな報告も続いています。

【参考】自殺者数|警察庁Webサイト

【コロナうつとは何か】について、精神科的・心療内科的な理解、ストレッサーによるストレス反応、適応障害の考え方に基づき、その症状、治療、対処・対策、対処法をまとめてみました。

【参考】新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)|厚生労働省 こころの耳

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コロナうつと適応障害(その症状)

テレビやSNS、インターネットニュースなどのメディアで目にするようになったコロナうつ。遂に厚生労働省が調査に乗り出しました。

“新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って出現したうつや精神的な不調”ということで“コロナうつ”と呼ばれており、COVID-19流行下におけるメンタルヘルス問題として注目を浴びています。

“コロナうつとは何なのか、なぜ生じているのか”

理解するうえで参考になりそうな考え方として、精神科・心療内科には適応障害という診断基準があります。

【参考】適応障害|厚生労働省

引用:【ストレスってなに?】ストレスとの上手な付き合い方|株式会社サポートメンタルヘルス

 

適応障害は端的に言えば、ストレッサー(ストレス反応を惹起させうる刺激)の影響を受け自律神経系(交感神経、副交感神経のバランス)が乱れることによって生じる心と身体の反応を指します。

症状としては以下のようなものが代表的です。チェックしてみてください。

精神症状(心の反応)

  • 気分が鬱々とする
  • 気分が落ち込む
  • やる気が出ない
  • 無気力
  • 楽しめない
  • 仕事に行きたくない、学校に行きたくない
  • 人に会いたくない、外出したくない、引きこもり
  • 集中できない、物忘れが増える
  • 不安
  • イライラ
  • 泣くなど

身体症状(身体の反応=体調不良)

  • 眠れない(不眠)
  • 寝すぎてしまう(過眠)
  • 食べられない(食欲不振)
  • 食べ過ぎてしまう(過食)
  • 頭痛
  • 腹痛、下痢、便秘
  • 胃痛
  • 微熱、発熱
  • 倦怠感
  • 動悸、息苦しい
  • 胸が苦しい、胸が痛い
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 蕁麻疹など

精神症状や身体症状はストレッサーという要因によって引き起こされている反応であるわけなので、治療、対策・対処・解消法としてはストレッサーへの対処=ストレッサーから適切な距離を取るための環境調整が中心となります。

いくつか例をあげてみましょう。

社会人で仕事がストレッサーの場合…業務軽減、休職、部署異動、転職、退職など

小学生、中学生、高校生、大学生で学校がストレッサーの場合…学校をお休みしてみる(不登校や休校)、参加できそうな活動から参加してみるなど

育児がストレッサーの場合…保育園に子どもを預ける、子育てサービスを活用する、実家に帰省する、両親に子どもを見てもらう

なお、環境調整が困難な場合や、ストレス反応が生活に大きな支障を及ぼしている場合には、抗うつ薬や、安定剤(抗不安薬)、睡眠薬、漢方薬などを用いた薬物療法を行なうこともあります。

【参考】

【精神科医監修】抗うつ薬を解説【目的効果・種類・副作用とは?】

抗うつ薬を服用する方が心配なさる副作用(離脱症状や太るの?という疑問)について解説しました。

精神科医監修【抗不安薬(安定剤)とは】作用・副作用・依存性

 

また、ストレッサーへの対処方法を整理したり、ストレス反応を緩和させることを目的とした認知行動療法カウンセリングリラクゼーショントレーニングもポピュラーな対策の一つです。

ストレッサーから距離を置くと症状がおさまったりすることもあるため、に周囲から甘えだと思われてしまったりしますが、いずれの症状も日常生活、社会生活に影響を及ぼす症状であり、苦痛を伴う症状だと言えます。

【こちらもご覧ください】

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新型コロナウイルスというストレッサー

“コロナにうつらないように”、“コロナをうつさないために”、新型コロナウイルスは、“3密(密閉・密集・密接)を避ける行動”、“ソーシャルディスタンス”、“テレワーク/リモートワーク(在宅勤務)”など、我々の生活様式を変容させました。

心理学には、ストレスマグニチュードというストレッサーの強度を整理した研究があります。結婚、退職、転職など、それまで長く慣れ親しんだ環境が変化することは、いずれも強いストレッサーになりうることが知られています。

今我々に求められている生活様式の変容は、新型コロナウイルスによりこれまでの生活から新しい環境へ飛び込まなくてはならない、つまり、ストレッサーに晒されざるを得ない状況だと言えるでしょう。

生活様式の変容というストレッサーに対するストレス反応が新型コロナによるうつ(適応障害)と考えることができそうです。

ところで新型コロナに伴うストレッサーで言えば、“情報”は見過ごせません。新型コロナウイルスについては、感染拡大当初に比べればいくらかのことがわかってきてはいますが、依然わからないことが多い状態です。

そんななか、テレビやインターネット、SNSでは、ひっきりなしに新型コロナウイルス感染症に関する情報が飛び交っています。

適宜、必要な情報を仕入れて、適切な対処につなげるのは重要なことです。ただし、新型コロナウイルスの全貌がわからない現状において、四六時中、不確かさを内包した情報に晒され続けるのは精神科・心療内科的に好ましい状況とは言えません。

日本精神神経学会による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流⾏下におけるメンタルヘルス対策指針においても、信頼できる情報を得ること、情報過多を避けることが推奨されています。

精神科・心療内科には認知行動療法という治療法があります。認知行動療法のとある理論においては、

人間は対象のストレッサーを“脅威”であったり、“対処が不可能”であったりと評価するときストレス反応が出現する

と考えられています。

ワクチンが開発されたとは言え、いまだ全貌をつかめていない新型コロナウイルスは、それそのものが脅威且つ直接的な対処が不可能なものであり、それを伝える情報に四六時中晒されるということは、ストレス反応を惹起するストレッサーに四六時中晒されるということに他なりません。

コロナうつの治療法・解消法と対処・対策とは?

それでは我々は“コロナうつ”にどう対処し、どう乗り越えていくべきなのでしょうか。先にも述べた通り、コロナうつを適応障害に準じて考えれば治療法、解消法は下記のアプローチとなります。

  1. ストレッサーへの対処
  2. ストレス反応への対処療法(ストレス反応が重篤であったり生活への支障が大きい場合)

ストレッサーへの対処方法を専門的にコーピング(coping)と呼びますが、コーピングのアプローチにはいくつかの種類があります。

問題解決型アプローチ

これはストレッサーとなっている課題、問題そのものへ働きかけるアプローチであり、課題、問題を解決することを目的に、自分で色々工夫したり、周りに力を借りたり行動をコーピングとして考えます。職場がストレッサーである場合に、休職、異動などで物理的な距離を取りに行くことも問題解決型アプローチに該当します。

情動焦点型アプローチ

これは、ストレッサーによって生じた感情を対象としたアプローチです。自分の感情を誰かに話すことで発散するコーピング、自分の感情を抑えこみにかかるコーピングの2種類がよく知られており、自分の感情を抑えこむより周りに話して発散する方が精神的健康につながりやすいと言われています。

気晴らし型アプローチ

これは文字通り、趣味、外出する、運動する、ヨガ、料理をする、ペットと過ごすなど気分転換、ストレス解消につながる様々な活動でストレスへ対処するというアプローチです。

新型コロナウイルス、またウイルス感染拡大に伴う変化やその情報をストレッサーとして考える場合、有効な対策、予防策は以下のようにまとめられます。

問題解決型アプローチによる対策、予防策

  • 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う新しい生活様式にどうやって適応していこうか、少しでも負担を減らして(楽しみつつ)適応していくにはどうしていくか色々工夫したり、力を合わせたりする。
  • 情報に晒されすぎないように、ニュースやSNSを見る時間を制限して物理的に距離を取る。

情動焦点型アプローチによる対策、予防策

  • 感情をためこまないように、人と話す、一人暮らしの方はSNSでも構わないので思いを吐露する。
  • 診察やカウンセリングにて気持ちを吐き出す。

気晴らし型アプローチによる対策、予防策

  • いわゆる気晴らしの行動を意識的に行なう(ただし、これは新しい生活様式と関係が深い対策、予防策だと言えます。新しい生活様式に伴い、例えば大勢での外食を避けるなど、それまでに講じていた気分転換行動が制限されている方も多くいらっしゃると思います。新しい生活様式においては、“新しい気晴らし、新しい趣味を見つけること”が求められるということかもしれません)
  問題解決型 情動焦点型 気晴らし型
特徴 ストレッサーそのものへの対処 ストレッサーに伴う感情への対処 気分転換をする対処
対策 新生活への適応という課題を解決 誰かに話して感情を発散 趣味などを通じて気分転換

*『アルコールで気晴らし』という方もいらっしゃると思います。アルコール摂取は、一時的なストレッサーへの対処として機能することはあれど、新型コロナ感染症のような長引くストレッサーへの対処となると、アルコール依存症への移行が懸念されます。適量の摂取をおすすめします。

【参考】【精神科医監修】お酒がメンタルヘルスに及ぼす影響と対策

【コロナうつとは何か】まとめとして

新型コロナウイルス、それに伴う変化などをストレッサーと見立てたうえで、コロナうつはストレッサーに対するストレス反応=適応障害と考えると理解しやすいかもしれません。

適応障害という発想で整理できるようでれば症状や治療、その対策については多くの知見があります。適応障害の治療、対策をお調べいただくことで役に立つ情報にアクセスできる可能性が高まると思います。

ストレス反応は、要はストレッサーに晒されているというサインであるわけなので、不調を感じた際は、ご自身にとってストレッサーは何なのか、そしてご自身はどんなコーピングを取っているのかをセルフチェックしてみるとよいかもしれません。

2021年4月現在、covid-19のリバウンドが指摘されています。医療機関の逼迫、経済への影響など鑑みると、新型コロナウイルスというストレッサーが完全に消失するまでには、長い時間を要するのかもしれません。

ストレス反応(適応障害)を放置し続けると状態が悪化し、うつ病に移行するという指摘もあるため、ご不調が長引く場合については、病院やクリニックといった医療機関での治療を含め適切にケアしていくことをおすすめします。

【参考】もしメンタルの病気になったら? |公認心理師が疑問にお答えします!

【記事監修】

本山真(精神科医師、精神保健指定医)

医療法人ラック理事長、株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役

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