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精神科医監修【抗不安薬(安定剤)とは】作用・副作用・依存性

心療内科・精神科で処方されることの多い抗不安薬(一般的には安定剤、精神安定剤と呼ばれることが多いお薬)について解説いたします。

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2024年2月10日更新

【画像引用】株式会社サポートメンタルヘルス

抗不安薬(安定剤)とは?


抗不安薬(マイナートランキライザー)は、お薬の作用をもって不安感や緊張感を抑え、いわゆるリラックスした状態を作り出すことを目的に使用されます。“パニック障害における予期不安”、“社交不安障害における社交場面での不安・緊張感”など、不安緊張がメインの症状となる病に限らず、実に多くのこころの病に不安感、緊張感が伴います。

したがって、メンタルクリニック(心療内科・精神科)において、抗不安薬はポピュラーなお薬だと言えます。

*なお、一般的に、“安定剤”、“精神安定剤”と呼称されるお薬は、抗不安薬を指します。ちなみに、躁うつ病(双極性障害)の治療に用いるお薬として“気分安定薬”がありますが、これは抗不安薬とは別物です。“気分安定薬”は、気分の波を抑えることを目的としたお薬です。

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抗不安薬の種類


抗不安薬は、大きくベンゾジアゼピン受容体作動性薬(頭文字をとってベンゾと呼ばれたりします)セロトニン作動性薬に分けられます 。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬には多くの種類がありますが、それぞれのお薬が持つ作用(不安を和らげる作用、眠気を起こす作用、筋肉の緊張を緩める作用)の強さ、作用時間の長短、に特徴があります。

抗不安薬の作用作用の強さと長さ
不安を和らげる作用強い×短い 強い×長い 弱い×短い
弱い×長い
眠気を起こす作用強い×短い 強い×長い 弱い×短い
弱い×長い
筋肉の緊張を緩める作用強い×短い 強い×長い 弱い×短い
弱い×長い

診察にて、患者様のお困りごとやご症状、ライフスタイル、お体の病気の有無をおうかがいしたうえで、『どのお薬を使うと良さそうか』を選択します。

例えば、眠気を起こす作用を特徴とした抗不安薬を不眠症の治療に、筋肉の緊張を緩める作用を特徴とした抗不安薬を筋収縮性頭痛の治療に使用したりします。

 

眠れないという困りごとについてはこちらのブログもどうぞ。

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お薬の飲み方も患者様それぞれです。定期的に服用する方もいらっしゃいますし、不安緊張場面でのみ服用(頓服:とんぷく)される方もいらっしゃいます。

月に1回、朝礼での10分間スピーチ場面にのみ不安緊張がある場合、お薬はスピーチ場面にて頓服、作用時間は短い方が望ましいでしょう。スケジュール的に会議が集中していて不安緊張場面が一日中続くような場合については、ある程度作用時間が長い方が適しているでしょう。こんな感じでどの抗不安薬を用いるか考えたりします。

抗不安薬の作用と副作用


 

抗不安薬の作用と副作用は表裏一体だと言えます。

作用と副作用の考え方

不安感、緊張感が非常に強いものであり、生活に大きな支障が生じているのであれば、不安感、緊張感を抑えられることは作用です。一方で、不安感、緊張感を抑える作用が強く出過ぎてしまえば、心身ともにリラックスしすぎた状態(お酒に酔っているような状態)となり副作用となります。

眠れないことで日々辛い方にとって眠ることができるのは作用ですが、眠気を起こす作用が強く長く残れば、副作用として翌日に眠気を持ち越すことにつながります。

筋肉の緊張を緩める作用は頭痛に作用する一方、足腰の筋肉も緩めてしまい転倒につながる可能性があります。

抗不安薬の依存性

依存を考えるときには身体依存と精神依存とに分けて考える必要があります。

身体依存

人間の体は置かれている環境や摂取するものに対して、自然とバランスを取り、順応していく特徴があります。

お薬を服用している状態に体が順応することで、“飲み始めた頃の服用量だと効果が実感しづらくなる(耐性がつくと表現したりします)”、“急に服用をやめると離脱症状があらわれる”(釣り合っていたシーソーから急に降りると勢いよく傾くイメージが近いかもしれません)といった変化が生じます。

こういった変化・状態を身体依存と言います。

精神依存

精神依存は、『○○があれば大丈夫(ないと不安)』というこころの面での変化を指します。

抗不安薬は、短いものでは服用後1時間内に作用があらわれるため、作用が実感しやすいお薬です(抗うつ薬は一般的に効果があらわれるまで数週間を要します)。

作用が実感しやすいだけに、『抗不安薬があれば大丈夫(なければ不安)』という精神依存に陥りやすいと言われています。

依存についてご理解いただくために、身近なものとして飲酒行動を例としてあげます。

身体依存

『お酒を飲み始めた頃は、ビール一口で酔っぱらっていたのに、最近は焼酎2,3杯飲んでもそれほど酔わない』

精神依存

『今日は嫌なことがあった。早く家に帰ってお酒を飲んで忘れちゃおう。お酒さえあれば明日のことも大丈夫』

お酒は付き合い方次第で、リラックスの手段にも依存の対象にもなります。

お薬も同様、正しく付き合うことが大切です。

自己判断でお薬を増やしたり、やめたりせず、医師の指示に基づき服用を調整してください。

*なお、作用、副作用の現れ方にはいずれも個人差があります。

 

【監修】

精神科医師 本山真

医療法人ラック理事長、株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役

 

関連項目

 

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精神安定剤 / 抗不安薬(厚生労働省)

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